2019年2月22日掲載 / 2020年1月20日更新
虫歯とは
口の中には目に見えない色々な細菌が数多く生息しています。
虫歯は、これらの細菌が食事で口の中に運ばれた糖分から酸を作り出して、この酸によって歯が溶かされた状態のことです。
つまり、口の中の細菌と食事に含まれる糖が原因ということになります。
これらの原因のうち、口の中の細菌はゼロにすることができないので、口の中に入る糖をどのようにコントロールするかが虫歯の予防には重要です。
また、虫歯のことを「齲蝕」とも言いますが、虫歯も齲蝕も意味は同じです。
目次
虫歯で歯が溶ける原因
虫歯の進行度を示す『C』の表記
虫歯による痛み
虫歯治療
歯を削る場所の決め方
虫歯で歯が溶ける原因
虫歯の原因となる虫歯細菌は食事に含まれる糖質を栄養源として生きていて、その過程で酸を作り出します。
その酸によって食後の口の中のpHは、中性から酸性となりpH4〜6に低下します。
そして、口の中が酸性になりpHが5.5以下になると、脱灰という歯のエナメル質の構成成分であるカルシウムとリン酸が溶けだす現象が起こるのです。
エナメル質よりも象牙質の方が溶けやすくpH6.7以下になると溶けだします。
しかし、食後しばらくたつと唾液などの働きによって口の中は再び中性に戻ります。
それによって脱灰は止まり、唾液中に含まれているカルシウムやリン酸が歯が溶けた部分に付着して元通りに埋めていこうとします。
この働きを再石灰化といいます。
これらの脱灰と再石灰化という働きが食事をするたびに口の中で起きているのです。
しかし、再石灰化という便利な働きがあるのにどうして虫歯になってしまうのでしょうか?
それは、「バイオフィルム」とよばれる細菌のかたまりが歯の表面にできてしまうからです。
このバイオフィルムは歯磨きを怠ったり、しっかりと歯磨きができていない時などに生じます。
バイオフィルム中には数多くの細菌が生息しており、さらに唾液による再石灰化作用を邪魔します。
つまり、バイオフィルムができた歯は再石灰化という働きを受け入れることができず、常に脱灰している状態に陥ってしまいます。だから虫歯になってしまうのです。
虫歯の進行度を示す『 C 』の表記
虫歯を英語で表すとCARIES(カリエス)です。
だから虫歯はその頭文字をとって『 C 』と表記されます。
そして、その C という文字に数字を加えて虫歯の進行度を5段階に分類しています。
◆ CO
CにOBSERVATION(オブザベーション:観察)の頭文字の「 O 」を加えてシーオーといいます。
これは虫歯が初期の状態であることを示しています。
◆ C1
Cに1を加えてシーワンといいます。
これは虫歯がエナメル質にとどまっている状態であることを示しています。
◆ C2
Cに2を加えてシーツーといいます。
これは虫歯が象牙質に達している状態を示しています。
◆ C3
Cに3を加えてシースリーといいます。
これは虫歯が歯髄(歯の神経)に達している状態を示しています。
◆ C4
Cに4を加えてシーフォーといいます。
これは虫歯によって歯の上の部分が崩壊しており、歯の根の部分のみが残っている状態を示しています。
虫歯による痛み
歯は一番外側にエナメル質、その内側に象牙質、更に内側に歯髄があります。
虫歯が一番外側のエナメル質にとどまっている間は痛みを感じることはありません。
なぜなら、エナメル質には痛みを感じることのできる構造が含まれていないからです。
しかし、虫歯が象牙質に及ぶと痛みを感じるようになって、更に歯髄にまで進行すると強い痛みを感じるようになります。
象牙質と歯髄には痛みを感じることのできる構造が備わっており、その構造は歯髄の方が象牙質より多いからです。
虫歯治療
虫歯治療は、まず虫歯になった部分を専用の歯科タービン(切削器具)で削り取ることから始まります。
そして、削り取った部分にできた穴にレジン(樹脂)や金属などの詰め物を詰め込むことで直していくのです。
虫歯の進行具合によって治療法はさまざまに変化しますが、基本的には虫歯になってしまった部分を削り取り、崩壊した歯を元の形に戻して、そこに虫歯菌が入らないように対処します。
しかし、以前の治療法では小さな穴に詰め物をぴったりと詰める技術が今ほどではなかったため、虫歯になった部分だけでなく健康な部分まで大きく削る必要がありました。
また、歯は一度削ってしまうと、治療した場所が再度虫歯になることが多く、再治療するたびに削り取る場所がどんどんと増え、その結果として神経を抜いてしまうことになり、最終的に歯を抜かなければならなくなることが多かったのです。
この反省から、「できる限り歯を削らずに治療する」ことが今の虫歯治療では主流の考えとなっています。
この考えのことを「ミニマル・インターベンション(Minimal Intervention)=最小侵襲」と呼んでいます。
このことから「削っても痛くない治療」が可能になりつつあります。
なぜなら、健康な部分を削ることなく虫歯になった部分のみを削り取るからです。
というのも、痛みが生じるのは健康な部分を削る時だけだからです。本来、虫歯になった部分を削っても痛みは生じないのです。
歯を削る場所の決め方
エナメル質にだけある虫歯の場合は、削り取る量を最小限にするため探針で硬さを確かめたり、齲蝕検知液(虫歯になった部分だけ赤や青に色がつく)で色がつくかどうかで削る場所を決めていきます。
虫歯菌が作り出す酸によって歯は溶けますが、象牙質にその酸が到達すると脱灰が生じてやわらかくなります。
このやわらかくなった象牙質は「齲蝕象牙質外層」と「齲蝕象牙質内層」に分けられます。
このうち外層の部分は細菌感染がおこっているのでしっかりと削っていく必要があります。
ただし、やわらかくなっているので削っても痛くはありません。
一方内層の部分は酸によってやわらかくなっているものの、細菌に感染はしていないので削り取らずとも虫歯になることはなく、再石灰化してもとの象牙質に戻る可能性があるので削り取りません。
歯を削る場所を決めるために、X線画像やレーザーを用いた齲蝕診断装置などを利用して慎重に判断していきます。
虫歯の症状
虫歯が歯の最表層にあるエナメル質に留まっている間は、痛みを感じることがありません。
しかし、エナメル質の真下にある象牙質に虫歯が進行すると、痛みを感じるようになります。
さらに、象牙質の内側にある歯髄にまで虫歯が到達すると強い痛みが生じます。
もし、歯が少しでも痛むと感じるようなことがあれば、虫歯が進行しているサインなので、ただちにお近くの歯科医院に行くことをおすすめします。
この記事のまとめ
虫歯は口腔細菌と食事に含まれる糖が原因。そのため、口腔内の糖コントロールが大切となる。具体的には間食を控えるとか食後すぐの歯磨きなど。
初期の虫歯は痛むことがないが、進行すると痛みを感じる。つまり、少しでも歯が痛んだら虫歯が進んでいるサインなので、すぐに近くの歯科医院で確認してもらおう!!
子供の歯を虫歯から守りましょう
子供の中には虫歯が出来る子とほとんどできない子がいます。
そして、虫歯が多い子供のほとんどが「甘いジュース類を飲む習慣」があります。
一日に何度も飲み食いしたり間食が多かったりすると虫歯に非常になりやすくなってしまいます。
では、虫歯になりにくくするにはどうすれば良いのでしょうか。
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