2019年4月28日掲載 / 2020年6月20日更新
口腔乾燥症(ドライマウス)
最大の特徴は唾液分泌量の低下です。
唾液には自浄作用、湿潤作用、消化作用、抗菌作用など
様々な働きがあり、
唾液の分泌量が低下するとこれらの働きが阻害されて、
その結果として口腔粘膜の変化や痛みなどの症状が出ます。
唾液分泌量の低下には様々な原因があります
目次
口腔乾燥症の原因
唾液腺について
唾液分泌量
唾液腺の神経支配と活動
口腔乾燥症の検査方法
口腔乾燥症の対処方法
口腔乾燥症の原因
唾液分泌量が低下すると
口腔粘膜を十分に保湿できなくなるため、
口腔粘膜の乾燥や口からの呼吸も乾燥感を感じるようになります。
@ 薬剤による副作用
体液量の減少を促進したり抗分泌作用を有する薬剤を服用していると副作用として唾液分泌抑制が生じることが多いです。
薬剤による副作用は発現までの期間に個人差があるので注意です。
A 全身性疾患
糖尿病やシェーグレン症候群などがあると口腔乾燥症を生じやすいです。
また、流行性耳下腺炎などの唾液腺疾患や唾液腺の感染症、唾液分泌にかかわる神経が損傷を受けた場合も唾液分泌低下が生じます。
さらに、ストレスや神経的緊張などによる自律神経系への影響によって口腔乾燥感を感じることがあります(うつの症状として口腔乾燥症を発現することもあります)。
B 放射線障害
頭頚部領域への放射線照射の既往があると、唾液腺が放射線によって障害を受けてその結果唾液分泌量の低下を生じやすいです。
なお、治療時の放射線量によって症状は変化します。
C 口腔機能低下
唾液腺や唾液分泌機能が正常で問題がなかったとしても、
義歯不適合や麻痺などによって口腔機能が傷害されると、唾液腺への適度な物理的刺激が減少してしまうため、唾液分泌量が低下します。
また、口呼吸や睡眠時無呼吸症候群などがあると口腔粘膜が乾燥しやすいです。
・唾液の分泌量低下によって口腔乾燥症が生じる
唾液腺について
唾液は唾液腺と呼ばれる器官で作られます。
唾液腺には大唾液腺と小唾液腺があります。
大唾液腺は耳下腺、顎下腺、舌下腺の3大唾液腺があり、
小唾液腺は口唇や口蓋などに多く分布しています。
そして、
3大唾液腺の中で最も分泌量が多いのが顎下腺で全体の約6割を占めています。
この顎下腺からの唾液は舌の下にある舌下小丘から分泌されます。
口腔乾燥症(ドライマウス)患者の多くが高齢者であり、
ほとんどが舌の運動機能低下を指摘されています。
つまり、舌運動が低下することによって、舌の下から分泌された唾液を口の中全体に行きわたらせることが難しくなり、その結果として口腔乾燥症になるのです。
・唾液分泌改善に唾液腺マッサージは有効!
唾液の分泌量
ヒトの1日の唾液の総分泌量はおよそ1〜1.5リットルです。
食べ物を口に入れると唾液が分泌されますが、
これは舌にある味細胞が刺激されたり、
噛むことによって口の中が刺激されることによります。
このような唾液を刺激唾液といいます。
また、刺激がないときでも唾液は少しずつでていて、
この唾液を安静時唾液といいます。
三大唾液線の中でも
顎下腺からの唾液分泌量は最も多く全唾液量の60%を占めています。
唾液腺の神経支配と活動
唾液線は交感神経および副交感神経の両方によって調節されています。
副交感神経刺激では漿液性細胞の活動が高まって有機成分が少なく水分の多い唾液が分泌されます。
リラックスしている時に、
副交感神経が優位となってサラサラの唾液が多量に分泌されるのです。
このとき、胃腸の働きも活発になり多量の消化液も分泌されるので
消化吸収にとても良い状態となります。
一方、交感神経刺激では粘液性細胞の活動が高まり、有機成分の多い粘稠な唾液が分泌されます。
悩み事やイライラしているストレス状態では、
交感神経系の活動が高まって副交感神経系の活動が弱まります。
緊張した状態では口の中が渇いているように感じたり、
食事の際にも唾液分泌量が減少して食べ物を飲み込みにくくなり
食事を楽しむことが出来なくなるのです。
その原因は交感神経系のネバネバとした唾液が分泌され、また副交感神経の活動が抑制されているので唾液の全体量も減少していることにあります。
口腔乾燥症の検査方法
唾液分泌量の検査が代表的です。
一定時間当たりの唾液の量を専用チューブに吐き出して測定したり、
ガーゼを噛んでそれに吸収された唾液の量を測定したりなどあります。
また味覚異常の検査もあります。
口腔内の感受性試験をしたり、
味の基本4味である甘味、塩味、酸味、苦味などの精密検査を行います。
口腔乾燥症の対処方法
口腔内の保湿が大切です。
現在、多くの口腔専用の保湿剤が販売されています。
保湿剤の使用タイミングは食事と食事の間にしましょう。
食後すぐは口腔内にある程度の保湿が保たれているので、
食後1〜2時間経過してから行います。
・唾液の代わりに積極的な保湿が重要!!
この記事のまとめ
口腔乾燥症になって唾液分泌量の低下すると口腔粘膜の変化や痛みなどの症状が出る。口腔乾燥症の原因には様々あり、まずは原因を特定することからはじめる。対処方法としては保湿剤を用いた口腔内の保湿を行う。保湿剤の使用タイミングは食事と食事の間で、食後1〜2時間経過してから行うのが良い。
歯科金属アレルギーとは
歯科金属を原因とするアレルギー症状は、口腔内だけでなく手のひらや足の裏などの離れた部位のかゆみや全身の発疹などとしても現れます。
そのためアレルギー症状だけから口腔内の金属がアレルギーの原因となっているかどうかを診断することは難しいのです。
口腔内に金属が入っている人の中で、指輪、ネックレス、ピアス、時計などの金属にかぶれやすく内服薬や外用薬によっても治癒しない再発性のアレルギー症状のある方は歯科金属アレルギーを疑ってみる必要があるでしょう。
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