2019年9月1日掲載 / 2020年1月19日更新
目次
誤嚥性肺炎とは
症状
原因
診断
治療
誤嚥性肺炎と歯科治療
誤嚥性肺炎とは
誤嚥は誤って食べ物、口腔分泌物、胃液などを気道内へ入れてしまうことで、その誤嚥によって起きる肺炎を誤嚥性肺炎といいます。
症状
発熱、喀痰、呼吸困難などが生じて、高齢者では食欲不振、無気力、意識障害などが起きることがあります。
原因
通常、咽頭から食道へ向かって食べ物が嚥下される時は、喉頭蓋という蓋の役目を果たすものがあるため誤嚥は生じません。
この喉頭蓋の働きが弱まると、食べ物などの異物が気道内に入って誤嚥性肺炎となります。
また、気道内に入った異物を咳によって出す反射運動があり、それを咳反射といいます。
さらに、呼吸を止めた状態で食べ物等を咽頭から食道へ送る反射運動を嚥下反射といいます。
これらの反射運動機能が加齢によって低下すると、誤嚥が生じやすくなります。
診断
胸部X線レントゲン写真や胸部CTにて肺のスリガラス陰影などが認められると肺炎と診断されます。
また、嚥下機能検査(反復唾液嚥下試験、嚥下造影検査、嚥下内視鏡検査など)にって、嚥下機能障害の診断が行われます。
治療
誤嚥性肺炎の原因菌として、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌などが挙げられるので、クリンダマイシンやペニシリン系、カルバペネム系の抗菌薬を処方します。
急性期では経口からの栄養摂取は中止して補液による水分や電解質の補正を行います。
また、酸素投与や気道内分泌物の吸引を行い、強い呼吸不全がある場合には気管内挿管や気管切開などを用いて人工呼吸器管理を行うこともあります。
誤嚥性肺炎と歯科治療
歯周病の原因菌であるグラム陰性菌が誤嚥性肺炎の原因となることが多く、唾液分泌量の低下等によって口腔内のグラム陰性菌が増えて口腔から咽頭、気道内に入っていくことがあります。
誤嚥性肺炎を予防する意味でも、的確な口腔清掃によって口腔内にいる細菌数を減らすことが大切です。
また、口腔周囲の外科手術後に咽頭周囲の機能不全によって誤嚥が生じやすくなることがあります。
また、放射線治療によって口腔内の唾液分泌障害が起こり口腔細菌数が増加します。
つまり、外科手術後や放射線治療後は口腔ケアをより正確かつ頻繁に行う必要があります。
この記事のまとめ
歯周病の原因細菌が誤嚥性肺炎を引き起こす原因となることがあるので、口腔ケアによって口腔内を清潔にすることが肺炎の予防につながります。
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