2019年8月28日掲載 / 2020年1月10日更新
目次
血圧について
高血圧症の分類
高血圧症の治療
歯科治療時の注意点
血圧について
血圧とは動脈血管内圧を mmHg で表したものであり、心拍出量や全末梢抵抗において「血圧=心拍出量×全末梢抵抗」という関係が成り立っています。
つまり、血圧の上昇には心拍出量増加と末梢血管収縮が影響してきます。
心臓の左室が収縮する時に発生する動脈血管内圧を収縮期血圧といいます。
一方、左室が拡張する時に発生する動脈血管内圧を拡張期血圧といいます。
そして、収縮期血圧と拡張期血圧の差を脈圧といい、平均血圧は拡張期血圧+1/3(収縮期血圧−拡張期血圧)で表されます。
血管内圧の測定は、左室直後の大動脈内にカテーテルを挿入して測定するのが最も正確です。
しかし、臨床的には上腕動脈側圧の測定で十分ですので、上腕に血圧測定用のマンシェットを巻いて測定します。
高血圧症の分類
日本高血圧学会による分類が一般的に用いられています。
収縮期血圧130mmHg未満かつ拡張期血圧85mmHg未満を正常とし、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHgを高血圧とします。
分類 |
収縮期血圧 |
|
拡張期血圧 |
至適血圧 |
< 120 |
かつ |
< 80 |
正常血圧 |
< 130 |
かつ |
< 85 |
正常高値血圧 |
130 〜 139 |
または |
85 〜 89 |
軽症高血圧 |
140 〜 159 |
または |
90 〜 99 |
中等症高血圧 |
160 〜 179 |
または |
100 〜 109 |
重症高血圧 |
>= 180 |
または |
>= 110 |
収縮期高血圧 |
>= 140 |
かつ |
< 90 |
出典 : JSH 2009
高血圧症の治療
@ 薬物療法
血圧を下げる降圧薬(α遮断薬、β遮断薬、アンジオテンシンU受容体拮抗薬、Ca拮抗薬、利尿薬など)を用います。
投薬時に十分な効果が得られない場合は、他薬への変更や他薬の追加を検討します。
また、投与期間中は副作用等に気を付けます。
主な副作用としては、心不全、高K血症、低K血症、喘息、耐糖能異常、閉塞性肺疾患などがあります。
A生活習慣指導
生活習慣に問題があれば、それらを改善します。
食事中の食塩制限や禁煙指導、適度な運動、適正体重の維持などを行います。
歯科治療時の注意点
・高血圧症の患者さんを治療する時はモニターをつけるのが基本となります。
歯科治療を受けるときに、治療への不安や治療時の疼痛などによって、血圧が急上昇することがあります。
そして、血圧の急激な上昇は心血管病を悪化させるリスクが高いです。
そのため、高血圧症未治療で血圧が安定していない患者さんが時々受診されますが、その時はまず内科に通院して血圧がコントロールされていることを確認してから治療を開始します。
また、降圧薬を服薬中の患者さんについては、服薬を継続したままで治療します。
治療時に血圧が180/110mmHg以上になった場合は、緊急時を除いて治療を中止することを検討します。
・抜歯などの外科処置を行う際は、内科主治医に対診書を作成して、患者さんの現在の状況を確認するとともに処置に対する意見を伺います。
この記事のまとめ
歯科治療を行う際は、血圧がしっかりとコントロールされて安定していることを確認してからにしましょう。また、抜歯などの観血的処置を行う時は、モニターをつけると安全です。
広告
治療開始前に糖尿病の状態確認をしましょう
糖尿病患者は代謝異常による感染防御機構の機能低下によって易感染性であり感染の合併頻度が高いです。
そのため、治療開始前に患者さんがまず糖尿病に罹っているかどうかを確認することがとても大切です。
また、糖尿病に罹患している場合は、かかりつけ医に対診をとって治療内容やコントロール状態を把握する必要があります。
続きはこちらから。
ウイルス性肝炎では感染予防対策が必要です
治療をする際に最も注意すべきがウイルス性肝炎で、C・B型肝炎ウイルスは血液から感染するので、歯科従事者だけでなく歯科診療行為によって他の患者へ感染さえる可能性もあります。
使用した器具の取り扱い・消毒は徹底させるべきです。
続きはこちらから。