平成31年3月11日掲載 / 令和2年8月10日更新
歯科衛生士とは
歯・口腔の健康は、
健康でより良い生活を送るために重大な役割を担っています。
また、近年では、さまざまな調査研究から
「歯・口腔の健康と全身の健康の関係」が明らかになり、
歯科衛生士の役割に関心が高まっています。
歯科衛生士は、
歯科疾患の予防及び口腔衛生の向上を図る(歯科衛生士法第1条)ことを目的として、人々の歯・口腔の健康づくりをサポートする国家資格の専門職です。
歯科衛生士になるには高等学校を卒業後、
歯科衛生士養成機関(専門学校、短期大学、大学)において、
歯科衛生士として求められる知識や技術を習得し、
卒業すると国家試験(歯科衛生士国家試験)の受験資格が得られます。
これまで修業年限は、2 年制以上でしたが、
歯科衛生士学校養成所の指定規則が一部改正され、
平成17年4月1日を施行日とし、平成22年4月1日までにすべての養成機関は、3 年制以上になりました。
また、4 年制大学における教育も行われております。
歯科衛生士国家試験は年に1回、毎年2〜3月に実施されます。
試験はマークシートによる多肢選択方式で合格率は95%前後という高さです。
合格後は指定機関に申請を行い、
歯科衛生士として名簿登録されると免許書が交付されます。
歯科衛生士は一度取得すれば生涯有効の国家資格です。
目次
虫歯の予防処置
歯周病の予防処置
歯科保健指導
歯科診療の補助
口腔ケア
歯科衛生士の給料・収入
歯科衛生士法
虫歯の予防処置
虫歯の予防方法として、
子供たちの歯を強くするために乳歯や永久歯の生えはじめに行う
「フッ化物歯面塗布」があります。
乳歯へのフッ化物歯面塗布は
市町村保健センター等における1歳6カ月児・3歳児の歯科健康診査・保健指導とともに実施されることが多いです。
また、1歳6カ月児・3歳児の歯科健康診査の一環として
歯科診療所でフッ化物歯面塗布を行うことが多くあり、
それをかかりつけ歯科医師のもとで歯科衛生士が担当しています。
学童期の子供に対しては学校歯科医による歯科健康診査に基づき、
第一大臼歯を中心に永久歯の萌出状況に合わせて
フッ化物歯面塗布を実施します。
歯面塗布のほかには「フッ化物 洗口」や「フッ化物配合歯磨剤の使用」があり、
歯科衛生士が使用方法などについて指導を行っています。
さらに、薬物塗布の応用として虫歯リスクの高い子供には、
奥歯の咬む面の溝を予防的に塞ぐ「シーラント」も行います。
歯周病の予防処置
歯周病の原因となる口腔内の汚れは、
主に毎日の歯磨きなどによって取り除きます。
しかし、歯の形態や歯列・歯並びなどによっては、
セルフケアのみで全ての汚れを取り除くのは不可能と言ってよいでしょう。
そのため、歯科衛生士が専門的に歯垢・歯石などの除去を行い、
歯面清掃によって歯の表面を綺麗にして
汚れが再付着しにくい清潔な口腔状態を維持します。
歯科保健指導
歯科衛生士は歯科保健指導を行うことができます。
保健指導の内容は健康増進や疾病予防のための指導、
歯科医師の指示を受けての患者さんへの療養指導など様々です。
歯科保健指導は
セルフケア向上を支援する指導が主に行われていますが、
口腔機能の維持・向上、障害者や要介護高齢者などへの摂食嚥下訓練、禁煙支援、食育支援など多岐にわたって行われるようになってきています。
歯科診療の補助
歯科医院の仕事には歯科医療だけでなく
受付・事務や器具・器材の管理、滅菌・消毒など様々あります。
つまり、歯科医療と歯科医療でないものがあるわけです。
歯科衛生士法では「診療の補助」は歯科医療のことです。
歯科医療は歯科医師の独占業務ではありますが、
専門の教育課程を修了し、国家試験に合格して資格を得た歯科衛生士は、
歯科医師の指示を受けて
その能力に応じた一定の範囲の歯科医療行為に従事することができます。
口腔ケア
口腔ケアは全身の健康と生活の質を向上させるために大切です。
とくに要介護高齢者などの口腔内を専門的にきれいに清掃することによって、
口腔内の細菌数が減少し、
その結果肺炎などの発症率が少なくなることが明らかになっています。
つまり、口腔ケアは介護の現場で高齢者の健康維持に重要な役割を果たしているのです。
○ 要介護者の口腔ケアの手順
@ 声掛けを行う
「口の中をきれいにしましょう」など
A 体位を整える
介護者の全身状態や ADL などに応じた体位にする。
座位は誤嚥しにくい体位。
また、横向きや頭部をやや前に倒した状態にすると誤嚥を防止できる。
さらに、入院患者の術後合併症の予防や早期回復に向けての口腔ケアの必要性が重要視されています。
全身麻酔下での手術前後の口腔ケアもまた肺炎や敗血症予防に有効であるからです。
歯科衛生士の給料・収入
25万7700円/月 平均年収353万4300円
※年間賞与その他特別給与額44万1900円
※勤続年数6年、平均年齢33.2歳での計算(厚生労働省「平成27年賃金構造基本統計調査」)
歯科衛生士の主な勤務先は歯科医院ですが、
医療法人や個人経営などの医院の事業形態によって
給与や諸手当、賞与の有無について異なります。
立地では住宅街より都市部にある歯科医院のほうが、
給与水準が高めに設定されている傾向があり、
審美歯科など特化した分野で高度な技量が求められるケースではより高額が見込めます。
月収の内訳は、歯科衛生士が国家資格であることから、
基本給に資格手当をプラスすることで、
歯科助手など資格の必要ない職種との差別化が図られている場合がほとんどです。
職種の似ている歯科助手は国家資格がなくても働ける代わりに、
歯科衛生士と比べると給与が数千円から数万円低くなってしまうので、
よりよい条件で働くなら歯科衛生士のほうが良いでしょう。
福利厚生は個人経営の歯科医院より大学病院などのほうが充実しています。
結婚や出産を機に働き方を変えたり、
パートタイムでの再就職がしやすいのも国家資格が必要な専門職である歯科衛生士ならではでしょう。
歯科衛生士法
歯科衛生士の定義と業務
○ 定義
「歯科衛生士」とは歯科医師の直接の指導の下に歯牙および口腔の疾患の予防処置として
@ 歯牙露出面および正常な歯茎の遊離縁下の付着物および沈着物を機械的操作によって除去すること
A 歯牙および口腔に対して薬物を塗布すること
を業とする女子をいう。
○ 業務
上記@Aと歯科診療補助、歯科保健指導。@Aは業務独占、ただし歯科医師だけは例外。
診療補助は看護師の業務独占なので、看護師は医科も歯科も診療補助を行うことができる。歯科衛生士は歯科診療補助のみを行うことができる。
この記事のまとめ
歯科衛生士は虫歯や歯周病の予防処置、歯科診療の補助、歯科保健指導、口腔ケアなど様々な仕事を担当している。とくに、要介護者や入院患者などの健康を維持するために口腔ケアの重要性は高まっており、歯科衛生士の担う役割はますます重要になっている。
診療補助や予防処置、歯科保健指導など
歯科衛生士の仕事内容は、次のような業務内容が法律で定められています。
業務内容は、予防処置と診療補助と歯科保健指導から成り立っています。
予防処置は具体的には、
歯石の除去やフッ素塗布が法律では記されています。
但しそれ以外の診療補助と歯科保健指導については、
具体的に何ができるとは定められていません。
続きはこちらから。
歯石の構成成分とは
歯石は歯垢が石灰化したものでリン酸カルシウムが主体です。
歯垢から歯石になるまでの期間は約2日間で、歯石になってしまうと歯磨きでは取り除くことは困難です。
そのため、歯石を除去するには歯科医院にある専用器具(スケーラーなど)を使用します。
続きはこちらから。