2019年9月2日掲載 / 2020年1月6日更新
目次
骨粗鬆症および骨転移治療薬
ビスフォスフォネート系薬剤まとめ
歯科治療時の注意点
骨粗鬆症および骨転移治療薬
ビスフォスフォネート系薬剤(以下BP系薬剤)は、骨粗鬆症や癌の骨転移などに対し有効な治療薬です。
BP系薬剤は、国内外のガイドラインにて骨粗鬆症治療薬の第一選択薬となっています。
そして、骨粗鬆症に対するBP系薬剤の最大の治療効果は骨量増加による骨折率の低下です。
また、癌領域においてもBP系製剤は、国内外のガイドラインで推奨される癌の支持療法として利用されています。
癌の骨転移治療薬としてのBP系薬剤の治療効果は骨痛の抑制と骨折などの癌の骨転移に伴う骨合併症の抑制です。
現在、主に経口製剤が骨粗鬆症に、注射用製剤が癌の骨転移に使用されています。
BP系薬剤が臨床で大きな役割を果たす一方で、BP系薬剤の使用経験がある患者が抜歯などの顎骨に刺激が加わる治療を受けた時に副作用として顎骨壊死が発生する可能性があり、それが問題視されています。
また、骨転移治療薬としてはBP系薬剤だけでなくデノスマブ(ランマーク)も利用されていますが、副作用として顎骨壊死が報告されています。
ビスフォスフォネート系薬剤まとめ
経口用ビスフォスフォネート系薬剤
アレンドロン酸ナトリウム水和物
商品名:フォサマック、ボナロン
適応:骨粗鬆症
エチドロン酸二ナトリウム
商品名:ダイドロネル
適応:@骨粗鬆症 A脊髄損傷後・股関節形成術後の初期・進行期の異所性骨化抑制 B骨ページェット病
リセドロン酸ナトリウム水和物
商品名 : アクトネル、ベネット
適応:@骨粗鬆症 A骨ページェット病
ミノドロン酸水和物
商品名:ボノテオ、リカルボン
適応:骨粗鬆症
イバンドロン酸ナトリウム水和物
商品名:ボンビバ
適応:骨粗鬆症
注射用ビスフォスフォネート系薬剤
パミドロン酸二ナトリウム水和物
商品名:アレディア
適応:悪性腫瘍による高Ca血症 A乳癌の溶骨性骨転移 B骨形成不全症
ゾレドロン酸水和物
商品名:ゾメタ
適応:悪性腫瘍による高Ca血症 A多発性骨髄腫による骨病変および固形癌骨転移による骨病変
アレンドロン酸ナトリウム水和物
商品名:テイロック
適応:悪性腫瘍による高Ca血症
抗RANKL抗体(BP系薬剤ではないが副作用に顎骨壊死がある)
デノスマブ
商品名:ランマーク
適応:@多発性骨髄腫による骨病変および固形癌骨転移による骨病変 A骨巨細胞腫
歯科治療時の注意点
BP系薬剤を投与中の患者に対して外科的歯科治療を行う場合、まずは全身状態の確認、処方の変更や中止の可否についてかかりつけ医に対診します。
そして、顎骨や歯肉への侵襲を極力避けるよう注意が必要です。
治療後も義歯などにより歯槽部粘膜の傷から顎骨壊死が発症する可能性もあるので、定期的な口腔内診査が必要です。
この記事のまとめ
ビスフォスフォネート系薬剤を服薬中の患者に対して歯科治療を行う時は、顎骨壊死のリスクをできるだけ減らす対応をとれるようにしましょう。
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誤嚥性肺炎の原因として口腔細菌が挙げられます
歯周病の原因菌であるグラム陰性菌が誤嚥性肺炎の原因となることが多く、唾液分泌量の低下等によって口腔内のグラム陰性菌が増えて口腔から咽頭、気道内に入っていくことがあります。
誤嚥性肺炎を予防する意味でも、的確な口腔清掃によって口腔内にいる細菌数を減らすことが大切となります。
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慢性腎不全は腎不全による非可逆性の腎障害です
血液透析患者は循環器系の疾患を合併していることが多いです。
そのため、治療中のモニタリングが有効です。
なお、モニタリング時は圧迫によってシャント等が閉塞するのを予防するために、バスキュラーアクセスの位置を確認して、シャントがある方の腕で血圧測定を決して行わないようにしましょう。
シャント等の位置については透析主治医への対診で確認するようにします。
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